2022
13
Mar

家族・愛猫

子どもは親のことを良く知らないもんだね

父が
「行ってみたい美術館がある」
というので、行ってみることに。

ダマリ自身の人生45年を振り返り、父と美術館へ行くのは初めてだった。ダマリがデザイン学校へ通っている頃の、作品展や卒展、入賞したことのある県美展ですら、観に来たことはない。父は、男手ひとつでダマリと弟を育ててくれていて、いつも働き詰めだった。

美術館へ到着し、一つ一つ美術品を鑑賞する父の姿に感心した。こんなに興味があったのか。
「お父さん、好きだったんだね、こういうの」
「おう。作品を見ていると、その人がどうして、この作品を作ったのか、その過程を想像するのが面白くてな」

聞けば聞くほど、驚くことを話すので、ダマリはつくづく思い知らされた。
〈子どもというのは、親のことをよく知らないものだな……〉

母が亡くなった時も、遺留品整理で出てきた沢山の手紙に、ダマリの知らない母がいた。
〈何で、生前、色々教えてくれなかったのだろう……〉
そう思った。

でも今は、そう思わない。親だって、一人の女であり、男だ。知らないことがあって当然。そして、秘密があったって、それも親だけのもの。『マディソン郡の橋』のように、知られざるラブロマンスもあったかもしれない。

とはいえ、父が定年退職したことを機に、今まで知らなかった新しい父に出会えるのは楽しみだ。