
Client:なまず美紀
Kindle:
日本語版/コロナ禍のニューヨーク 写真集 2020-2021: A City Paused, Yet Alive
英語版/New York Under COVID-19: A City Paused, Yet Alive : 2019-2021
Commnet:
コロナ禍に、ニューヨークに在住していたライター・なまず美紀さんが収めたKindle写真集の日英両エディションにおいて、写真レタッチからレイアウト、出版用データ(KPF)作成までトータルでディレクションさせていただいた。
美紀さんがパンデミック下のニューヨークで記録した「250のシーン」を、一冊の歴史的ドキュメンタリーとして見ることができる。コロナ禍の各フェーズにまとめられていて、ライターである美紀さんが書いたキャプションと共に、非常に胸を打つ内容となっている。通常Kindleは縦型が多いが、臨場感を最大限に出せるように横型フォーマットにした。
ニューヨークといえば、さまざまな映画でよく見る風景で馴染み深い。表紙に採用されたエンパイヤステートビル、ブルックリン・ブリッジを皮切りにタイムズスクエア、セントラルパーク、ロックフェラーセンターなどなど。画像のレタッチをしながら、感慨深い気持ちになり涙ぐんだこともあった。日常が失われたニューヨークの静寂、そしてその中で力強く生きる人々の体温……。一枚一枚の写真のトーンを丁寧に調整。「あの時代の空気感」を視覚的に再現できるよう心がけた。
美紀さんのこだわりに、どうにか応えようと何度も修正を繰り返し、単なる記録集に留まらず、読者が細部まで楽しめる遊び心を損なわないよう、写真のトリミングや配置にリズムを持たせ、ニューヨークの空気感が伝わる写真集ができあがった。
あの時、世界中の誰もが「正解」を持たず、立ち止まることを余儀なくされた。私も息子が2歳の時で、保育園のママたちや先生たちが涙する姿を見た。しかし、この写真集に収められたシーンが教えてくれるのは、「どれほど街が静まり返っても、人の営みと生命力(Alive)は消えなかった」という事実だ。人は強い。手と手を取り合って団結して立ち向かえば、何度でも乗り越えられる。
ニューヨークという巨大都市が姿を変えた瞬間を直視することは、予期せぬ変化を受け入れ、適応していく強さを養える。当たり前だった風景や人との繋がりがいかに尊いものだったか……。それを思い出すことは、今の日常をより能動的に生きる糧となる。
コロナ禍の記録を『未来へ渡すための一冊』にする。私にとっても『これからの時代をどう生きるか』を問い直す貴重なプロセスとなった。読者がページをめくるたびに、明日を生きるエネルギーを感じ、背中を静かに、けれど力強く押す一助となりますように。

