Client:奄美歌掛け保存会
Size:A3 / 片面
Comment:
『島唄』の、ぎゅっと胸をしめつけられる、切ない、ノスタルジーを表現したポスター。『島唄』とは、一義に奄美群島で歌われる奄美民謡のことで《シマ》の唄を指す。琉球語の《シマ(島)》には、標準語で使用する《島(island)》の他に《村落(village)》の意味がある。琉球列島の奄美群島・沖縄・先島の住民は、琉球王国時代から《シマ(村落)》ごとに社会を形成していたため、《シマ》ごとに決まり事や習俗は微妙に異なり《シマ》で歌われる唄も多種多様だった。
『島唄』は、仲間うちでは歌あそびとなり、年中行事の八月踊りでは集団の掛け合い歌《歌掛け》となる。この《歌掛け》が、なかなか聞いていて面白いもので、即興の《歌の会話》といったところだろうか。唄の内容は、集落毎の労働唄や、伝承を歌詞にした唄、恋の唄、呪術の一種である唄などを口伝によって伝えてきたものが多く《楽譜》というものがないため、耳で聞いて実践して覚えるしかない。
奄美の『島唄』は、なぜか切なく哀愁ただよう唄が多く感じるのは、唄者がファルセットのような裏声を使うからだろうか。奄美三線は、沖縄三線と異なり高い音を出すからだろうか。とにかく『島唄』を聞くと、胸がぎゅっ……と締め付けられる。この胸を締め付けられる切ない感じは、どこか懐かしい感じを憶え、明るい空の下!というより、夕日の海辺を思い浮かべる。夕方になると「早く、温かい家に帰ろう」と人恋しくなる時間帯。その感じと『島唄』は似ていると思う。
このお仕事のお話をいただいた時にすぐに思いついたのは映画『3丁目の夕日』だった。よし、昭和感をだすぞ!とコンセプトが決まり、このような感じに仕上げた。ちょっと苦戦したのは、写真を加工して絵画風にすることだったが、なかなか面白かった。
Customer’s voice:
奄美の伝統文化継承事業として、開催していたイベントポスターの制作をPOPな感じに仕上げてもらうように依頼しました。 ポスターのモデルになった奄美しま唄の名人達もすごく気にいってくれて、お褒めのことばをたくさん頂きました。