Client:松元 佳子
Size:A5 / 8ページ
Editor:櫻木よしこ
Project:POWER for Restart
Comment:
認知症介護家族アドバイザー 松元 佳子さんのセルフマガジンデザイン。編集者・櫻木よしこさんとのプロジェクト、セルフマガジンプロデュース“POWER for Restart”でセルフマガジンのデザイン制作をさせていただいた。「ハーモニカを聴きたくて〜あなたの家族が突然、認知症になったら〜」松元さんご自身のご両親共に認知症を発症し、体験談をもとに、どう対応してきたかなどをわかりやすく綴られている。
介護のパンフレットという話を頂いた時に、まず思ったのは、「よく巷に出ている介護ブックみたいにすることは避けよう」ということ。病院や施設を連想させるものではなく、生活のスタイルブックみたいな感じにしたいなぁ。と思った。そんな中で、松元さんご自身の「こういう感じが良い」という雑誌のページ画像を送っていただき私の中で、全体のイメージ像を固めた。編集者の櫻木さんと、「イエロー」をどうするべきかも話し合い、最終的には松元さんのご意見を聞き、このイエローとネイビーに決定。
今回、ラフをあげる段階で、松元さんから何枚もの写真をあげてもらった。1枚1枚の写真が、とても多くのことを物語っていて、自分自身、母を介護していた頃を思い出し、何度も目頭が熱くなった。ラフが固まり、文章を流す段階では、一番初めに「読者」になれるので、とても楽しみな瞬間でもある。今回、8ページに渡り、松元さんご自身で文章を書き上げるのは、ものすごく大変な作業だったと思う。櫻木さんの添削やアドバイスをもとに、完成した文章には、心を強く打たれた。ラフの段階では、全般的な大きな流れしか分かっていないですが、こうして文章まで読み込むと、デザインをする側にも、さらに力が入る。
タイトルが「ハーモニカを聴きたくて」。これは、松元さんのお父さんが奏でるハーモニカの事。このエピソードについて、裏表紙に松元さんの直筆でメッセージが添えられている。このマガジンを制作していく中で感じた事は、「家族史マガジンだなぁ。私も自分の家族のマガジン欲しいなぁ」ということ。こんなに自分自身の家族に向き合い、まとめたマガジンなんて、この世にそうそうない。松元さんのマガジンは、家族史であり、ご本人の介護史でもあり、そして、世の中の認知症介護の救世主でもある。