2016年。母が5月に亡くなったあと、
ダマリは3カ月、実家で過ごした。
この3カ月のお陰で、心の修復が早かったように思う。
特に、祖母と毎日過ごせたし
田植え、梅干しなどなど
祖母の暮らしに寄り添うことで、色々なことを学べた。
そして、その3カ月は、今思えば、神様が与えてくれた
ばあちゃんとの濃密な宝物の時間だったと言える。
祖母は2017年に脳梗塞となり、思うように動けなくなった。
ふりかえると、祖母にとって「最後の田植え」となってしまった、この写真を撮影した日、
私は、なんとなくだが「もしかして、ばあちゃんとの田植えはこれが最後になるかもしれない」と
そんなことを、思ってしまっていた。
田植えは基本的に、機械でするのだが
この時は、「あともう少しで終わる!」って時に、機械が途中で故障してしまい、
残りの苗を、手植えをすることになってしまった。
ばあちゃんと二人で、残りの苗を手植えしたあの日。
360度深い森に囲まれ、空は高く、聞こえるのは鳥のさえずりと、川のせせらぎ、
そして、普段があまり感じることができない、風の音を常に感じていた。
目に入る色は、眩しい黄緑。
風に揺られ、水田が光り、苗が揺らぐ。
祖母も私も、無言で作業をもくもくと進めた。
すくすく育ってね。
川の水で、農作業技を洗う。
小・中学生の夏休みは、ここの川で友達と水遊びをした。
この日は、工事の土砂が混じって濁っていた。
田の神たのかんさぁへ、苗をお供え。
今年もお米が無事に収穫できますように。
祖母は、もう、農作業をすることはできない。
実質、この時が祖母にとっての、最後の田植えになってしまった。
父と弟が、田植えを引き継いでいる。
自家米をいただける環境に感謝。恵みに感謝。祖父母に感謝。
ばあちゃん、もうすぐ帰省するからね。待っててね。
田植えの話をしようね。