何年か前に、「美和の作る味噌汁は辛い。甘みが足りない!」
と、ばあちゃんにご指摘を受けた。
それまでの私の作る味噌汁といえば、豆腐に乾燥わかめを入れただけのもの。
そこに、刻み菜っ葉をいれるか、時々大根。
そしてネギを散らす程度だった。
確かに、ばあちゃんの作る味噌汁は野菜の甘さが美味いし
沢山の具材が入っていて、クタクタに煮込まれていて、なんともいえない。
ばあちゃんの買い物に同行すると
毎回かかせないのが豆腐厚揚げか棒天。
これを入れないと、出汁やコクが出ないという。
そして、甘みの野菜として玉ねぎはもちろんのこと
根菜類の、じゃがいも、カボチャ、人参、里芋、大根、たけのこ、ごぼうは必ず数種類。
自家菜園で補えなかった野菜を購入する。
この根菜類が煮崩れる程煮込んだ味噌汁が、美味しい。
そして出汁も違う。
荒節を削ったもの、そして、いりこを入れる。半生干し椎茸は自家製をドボン。
味噌もカスを取らずに、そのまま溶かし入れる。
ばあちゃんに、「甘み」の指摘を受けてからというもの
料理を作る際に意識するようになった。
鹿児島では、ヘチマを使った料理がある。
ばあちゃんはいつも、ヘチマと玉ねぎ、豚肉を味噌・三温糖・出汁で
クッタクタに煮込んだ料理を作ってくれていた。
私が真似て作ると、やはり「甘み」が足りず
その時は、「煮込み方が足らん!」とご指摘。
田舎料理って、とことん煮込んで野菜の旨味を出し切るんだなぁ。
最近、祖母の味を真似て煮物やお煮〆を作る。
ばあちゃんいわく、一番出汁がでるさつま揚げは、イワシの棒天らしい。
もう、2度と台所には立てないばあちゃん。
ばあちゃんの味も引き継いでいきたい。そう思う。