ダマリ紀行

[モロッコ_メルズーガ]ラクダ使いの嫁になろうか。と本気で思った旅

モロッコを1カ月かけて周ったことがある。タンジェ→マラケシュ→メルズーガ→メクネス→フェズ→シャウエン→タンジェ。どこの町も刺激的で面白かったが、人生観を変えたのは砂漠の町メルズーガだ。

マラケシュから長距離バスに乗り、アトラス山脈を越え、約12時間後メルズーガに到着。2泊3日の砂漠ツアーに申し込んでいた私は、「ハサンという人がいるから、その人をちゃんと確認してついて行け」と言われていた。

到着したのは、夜の22:00。到着した町は真っ暗で、町の様子がさっぱり見えなかった。「ハサン」と名乗る人が、私の名前を紙に書いて迎えに来ていた。そして、ハサンの自宅へ向かう。

土でできた家に案内され、土の上に敷かれた絨毯にテーブルがあり、そこへホブス(パン)、タジンとミントティが運ばれて来た。大好きなオリーブは必ずついてくる(^^)

ナス、じゃがいも、鶏肉のタジン。これを食べて、すぐに就寝。翌朝3:00には、ラクダで出発だという。ちなみに、アラビア語で「いただきます」は「ビスミッラー」。

そして翌朝am3:00。外に出ると、まだ真っ暗で、ラクダが座っていた。そして青い服を来た、ラクダ使いが1人。ラクダの名前はジミー。ラクダ使いの名前はバラ。ラクダに乗り、いざ2泊3日の砂漠の旅へ。町には光が一切なく、満天の星空が空いっぱいに広がっていた。

保育園の頃、宮崎にラクダに乗りに行ったことがあったが、その時は、怖くて怖くて乗ることができなかった。そんな私が、ラクダに乗り、それもサハラ砂漠を歩こうとしているなんて。幼少時代のビビリな私を思い出し、成長した自分に笑えて来てそして感動で涙が溢れた。

だんだんと朝日が登り始めると、ようやく周りの風景をみることができた。オレンジ色に染まる砂漠が目の前に広がる。なんという世界だろうか。

ラクダのジミーに乗っているのも楽しいけど、砂漠の上を歩いてみたい。ラクダ使いのバラさんにお願いして、砂漠を歩かせてもらった。リアルなフンコロガシや、ガラガラヘビの痕跡を見つけたりして何もかもが新鮮。

そして、到着したのは、ノマド民族の家。土でできた4畳ほどの部屋に絨毯が敷かれた部屋に1泊する。

こんな場所で、バラさんとミントティを飲んでいると「私がもし、この土地に嫁いだらどうなるのだろう」と自然に思っていた。

モロッコには不思議な魅力、そして魔力がある。活気に溢れるスーク、シンプルな営み、フランス領土だった名残り、イスラムの尊い美しさ。今思えば、私は全てのものに魅了されていて、「なにもない」というシンプルな営みについて深く考えさせられていた。

そんな中で、私はバラさんと砂漠を歩きながら、勝手に「バラさんと夫婦だったら。」という妄想に狩られ、砂漠の新婚旅行のようなフワフワした感情の中、砂漠の魔法に酔いしれていた。

ノマドの家にお世話になった翌朝、歩くこと4時間で到着したのは、砂漠のくぼみに用意されている絨毯でできたテント。なんだこのドラクエ風な感じは!!!砂漠の真ん中で寝られるなんて最高!

バラさんが美味しい卵料理を作ってくれて、砂漠に二人きりで、なんだか変な気分になってきた。きっとバラさんもそうだったと思う。今思えば、ちょっと危険だった。だけど、そこは成り行きに任せず、正気を取り戻した。

その日は、夕方に2人のツーリストが合流したのだが、もし、その夜、バラさんと私だけだったら、どうなっていたか分からない。本当に、ラクダ使いの嫁になってしまっていたかもしれない。とそう思う。

翌朝、サハラ砂漠の夜明けを堪能し、メルズーガへ帰ることに。「はぁ。終わってしまうのか。砂漠の旅が………」私は、寂しく、なんとも言えない、「ひと夏の恋」が終わってしまうような感覚になっていた。

土壁の家だらけの、メルズーガの町。

そして、砂漠の旅を終え、シャワーを浴びたあと突然気分が悪くなって、寒気がし、脂汗が出て、熱が出て来た。バスが出る時間まで、ハサンの家で横になっていた。

熱のせいか、朦朧として、2泊3日の砂漠の旅が夢だっとのではないかと思うほどだった。ここはどこだろう?と寝ぼけて目を覚ますと、外にはサハラ砂漠が見える。あぁ、そうだ。私はモロッコにいるんだ。そしてメルズーガにいる。

なんとかバスに乗り込んで、メクネスを目指す。バスの中でも熱にうなされ、「まずいな。変な病気になったかな…」と思ったほどだった。お守りに常備していた「抗生物質」が効いたのか、メクネスに到着する頃には、治っていた。

この出来事を、母にメールで伝えた。もしかしたら、ラクダ使いの嫁になっていたかもしれないと。母は「恐ろしい娘やなぁ〜」と、嫁にならずに済んだことに心から安堵した様子だった。

モロッカン・マジック。良い思い出だ。

ハサンと。

バラさんと。

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