2022
1
Mar

デザインコラム

デザイン料、講師料は源泉徴収税の対象となる

確定申告が終わり、安堵している。デザイナーとして知っておいてもらいたいことがあるので書いてみる。デザイン料や講師料は『源泉徴収税』がかかるということ。源泉徴収とは、対象となる報酬を《支払者》から《受取者》に支払う際に、所得税分として一部を控除することだ。

《受取者(デザイナー)》報酬の発生事由の提供

《支払者(クライアント)》税金(源泉徴収税)を控除 、控除後の金額を《受取者》に支払い

《受取者》税金控除後の報酬額受け取り

《支払者》源泉徴収した税金を税務署へ納付

源泉徴収の理由は “税金の徴収を効率的に行うため” のようだがイマイチ、ピンとこない。源泉徴収によって、所得の発生の都度、概算の所得税を前払いしておけば、税収も安定し、税金の徴収漏れも減る。ということになるようだ。税金の徴収が効率的にできれば、それだけ税務署の運用コストが抑えられ、税金を使わずに済むことになるらしい。

<対象となる仕事>
源泉徴収は、個人事業主やフリーランスであれば、事業や規模に関わらず対象となる。

  • 原稿料や講演料、デザイン料等
  • 弁護士、公認会計士、司法書士等特定の資格を持つ人への報酬
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • スポーツ選手、モデル、外交員などに支払う報酬
  • 芸能人、芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
  • コンパニオン、ホステスへの報酬
  • プロ野球選手等への契約金
  • 広告宣伝のための賞金や競馬の賞金

ダマリデザイン室の場合 … 講師料やデザイン料が源泉徴収税の対象。その分を差し引いた請求書を作成し、クライアントへ提出させていただいている。WEB制作のコーディングなどは対象にならないとされている。

<源泉徴収の計算方法>
対象となる報酬に、一定の税率をかけた分が源泉徴収として控除される。

◯支払われる報酬が100万円以下
報酬 × 10.21% = 源泉徴収税額
※ 10.21%のうち、10%は所得税額、0.21%は復興特別所得税額
(例)デザイン料 … 10万円 の場合、10万 × 10.21% = 10,210円(源泉徴収税額)

◯支払われる報酬が100万超
(報酬ー100万円)× 20.42% + 102,100円 = 源泉徴収税額
※ 20.42%のうち、20%は所得税額、0.42%は復興特別所得税額
(例)デザイン料 … 200万円 の場合、(200万円ー100万円)× 20.42% + 102,100円 = 306,300円(源泉徴収税)

源泉徴収した《支払者》は、報酬を払う際、総額から源泉徴収税を控除して《受取者》に払うことになる。控除した分は『受取者の所得税』。源泉徴収した《支払者》が源泉徴収税を『預っている』状態になる。預った源泉徴収税(所得税)は、報酬を支払った月の翌月10日までに税務署に納付。《受取者》の所得税を《支払者》が納付する仕組みだ。

もし源泉徴収した《支払者》が、この所得税を納付せずにいた場合、納付の義務は、源泉徴収した《支払者》にあるため、源泉徴収をもって納付したものとして、確定申告が可能となる。源泉徴収する《支払者》の事業者は『支払調書(前年一年分の報酬額と源泉徴収額を記載したもの)』を発行し《受取者》に送付する。支払調書は、《受取者》と税務署の両方に提出され、支払調書は確定申告の際に用いる。

<《支払者》が個人事業主で、源泉徴収義務者にならないケース>
従業員を雇っていない場合、もしくは常時2人以下の家事使用人のみ雇用している場合には、源泉徴収は不要。また、原稿料や講演料など源泉徴収の対象となる個人への報酬についても、支払者が源泉徴収義務のない個人である場合には、源泉徴収は必要はない。