2010年3月末。ダマリは、世界一周放浪の旅へ出た。どこの国から入国しようかと考えていたが、アジアはいつでも行けそうだから、アメリカ大陸からにしよう!と決意。ロスからでも良かったが、ダマリが大好きなアメリカドラマ「Full House」の舞台サンフランシスコをはじめの第一歩にした。
当時は奄美大島から出発し、鹿児島の実家に1泊した後、羽田へ飛び、そこから成田空港へ。サンフランシスコと日本の時差は16時間。サンフランシスコ国際空港に到着し、そこから地下鉄でユースホステルがあるダウンタウンへ移動。空港から地下鉄に乗ると外の景色もろくに見ることができないため、駅に降り立つ時はワープしたような気持ちになった。
サンフランシスコの時刻は朝8:00頃。日本でいうと夜中の0:00。とにかく腹減ったと同時に眠い!という記憶がある。ホステルのチェックインは15:00だったので部屋で休むことはできない。荷物をホステルに預け周辺をぶらつくことに。まずは腹ごしらえということで、中華屋さんで酸辣湯麺を食べた。その後、とにかく眠いので、どこか公園を探して寝転ぶことにしようと思ったが、とぼとぼ歩いているうちにランチ時になっていて、沢山の人が公園でランチタイムを過ごしていた。
途方にくれていると大きな教会があったので、「お礼参り」でもしようかと教会に入る。教会の中というのは涼しくて静かで、とても気持ちがいい。「無事にサンフランシスコの地へ受け入れてくださり、ありがとうございます」。このまま教会で眠りたかったが、外に出た。すると、近くにMoMA美術館が。美術鑑賞する気力は到底ないため、MoMAが見えるベンチに横たわり空を仰ぐ。
とてもいいお天気で、空は快晴。「本当に来てしまったんだなぁ。1週間くらい遊んだから日本に帰国してもいっか」などと、初日にして世界一周の旅に尻込みしている自分がいた。これから、ずっと一人ぼっちなんだな。寂しいなぁ、寂しいなぁ……空にはカモメが「キイ、キイ」と往来していた。「カモメか。そうかサンフランシスコは海が近いんだ」。そんなことを思いながら昼寝をし、ホステルへ戻った。
それからダマリはサンフランシスコに5日間ほど滞在し「とにかく次のラスベガスへ行くまで旅を続けてみよう。それでも寂しかったら日本へ帰ろう」と決め、長距離バスでラスベガスへ移動することとなる。そして、日本へその後帰国することはなく、サンフランシスコのユースホステルで出会ったチリ人のダニエラとチリで再会を果たし、初日に怯えていた世界一周の旅は、約1年続くことになる。