2021
28
May

デザインコラム

JAL再建から見るロゴマークの役目

日本航空 Japan Air Line JAL。ダマリは何度JALに乗っていることだろう。JALのロゴマークである「鶴丸」から見たロゴマークの役目について大変興味深く、面白い話がある。

1959年8月15日。JAL初代ロゴマークの鶴丸が誕生し、民営化や統合に伴い初代鶴丸から2度ロゴが変更されている。そして、経営破綻に向かっていくわけだが「JALの経営がおかしくなったのはロゴのせい!」だとも言われている。2009年末JAL再建のため、政府と企業再生支援機構から会長就任を要請された稲盛和夫氏。JALに乗り込んだ稲盛氏は、その頃のロゴに難色を示した。JALの「A」を横切るアーク(円弧)が文字を切り裂いているように見える…。と。

稲盛氏が最初に取り組んだのは、JALグループの企業理念「JALフィロソフィ」と「鶴丸ロゴの復活」。「JALフィロソフィ」とは社員の行動哲学ともいうべきもので、社員全員に徹底して浸透させているもの。Philosophy(フィロソフィ)とは日本語でいうと「創始者の想い・理念・哲学」など。マーケティングでも重要視されているものだ。「JALを社員の意識の高さにおいて世界一にする」と稲盛氏と述べていて、その「JALフィロソフィ」で固く結ばれた社員たちが、誇りを持って掲げるロゴマークこそが「新生鶴丸」だ。

(引用)JALカード会員誌AGORA1・2月合併号

JALの原点、初心のシンボルである鶴丸。稲盛氏は、初代の鶴丸をより力強くリニューアルさせて復活させた。ロゴというのは「家紋」と同じで、今日まで息づいている日本固有の文化であると言っていい。古くより出自といった自らの家系、血統、家柄・地位を表すために用いられてきた。自信を持って掲げられるロゴを持つことで、団結力がより一層高まり、同じビジョンに向かって前進していけるのだと思う。

先日、クレヨンしんちゃんでも似たエピソードがあった。しんちゃんの友達である風間くんが「春日部防衛隊」の「K・B」というロゴバッジを作って、仲の良いグループである、しんちゃん・風間くん・ねねちゃん・まさおくん・ぼーちゃんに配って皆んなで胸に付ける。こうしてロゴバッジや、ロゴが入ったTシャツなどをグループで着ると団結力が増す。これが、ロゴマークの力だ!やっぱり、ロゴは面白い。