ダマリの母は、裁縫が得意で小さい頃から手作りのもので育ててもらった。母が亡くなってからというもの、母が残してくれたモノが、今でもダマリに温もりを与え続けてくれている。
特に、手作りのバッグなどは使い続けているため、布がスレたりして破れてくる。母が生きていた頃は、すぐに頼めば修復してくれていたのだが、今は、自分自身でやるしかない。
送り盆の日。外は雨が降り続き、外出する気も起きないので、静かに針仕事をすることにした。ずっと、放っておいたお気に入りの手作り手提げバッグ。手持ち部分が擦れて破け具合が広がってきていた。
手持ちのハギレをあててチクチク縫い合わせる。針仕事は苦手な方だけど、やりはじめると脳もスッキリするし、心が落ち着く。なにより、布を触っているのが心地よい。
ダマリの息子の名前は「李衣りい」。衣とつけたのは、布への想いがあったのもある。織物というのは、縦と横糸が混じり合ってできる。人との出会いも同じ。そして、それが柄になる。そしてその衣(ころも)は、人を包み込む。ダマリの息子にも、人を包み込む大らかな優しい子であってほしいという想いがある。
ちくちく、ちくちく針仕事。これからも大切に使わせてもらいますよ、お母さん。