鹿児島県奄美大島には、餅やおこわを包んだり、料理の下に敷いたりする抗菌作用を持つ植物がある。奄美の方言で「カシャ」、きちんとした名は「クマタケラン」。そして、この植物とよく混同されるのが方言で「サネン」と呼ばれている「月桃」だ。
ダマリが奄美に住み始めた頃、「カシャ」と「サネン」は同じものだと思い込んでいた。当時、奄美の書店に勤めていた頃、タクシードライバーのおっちゃんが来て突然その話を持ち掛けてきた。
「サネンって何か知ってるよね?」おっちゃんが質問してきた。ダマリは「あ!餅とか包んでいる良い香りの葉っぱですよね!」と答えると、「いや、それは間違いなんだよ〜」とおっちゃんは語りはじめた。サネンは月桃のことで、餅などを包んでいる葉は、「カシャ」と言って「クマタケラン」という植物で抗菌作用があり、香りもサネンより良いと言う。サネンも抗菌作用があるが、生で使用すると苦みがでて駄目らしい。しかしながら、月桃のフレッシュハーブティーは爽やかで美味しい。
このおっちゃんは何か活動を起こしてる人物っぽかった。わざわざ島の餅工場に行き、実際に使用されている葉を確認したという。「クマタケラン」と「月桃」は葉がそっくりだ。しかし、植物図鑑や一村の絵をみれば、花の付き方や形が全然違う植物だという事がわかる。
カシャ餅
さらに、もっと掘り下げると「クマタケラン」にはオスとメスが存在し、「餅などを包む葉は、メスの葉でなければならない。オスの葉は硬くて扱いにくい」と親戚のオバさんが教えてくれた。「クマタケラン」ならどれでも良いのかと思っていたが、まだまだ世の中にはしらないことだらけで、面白すぎる。